中国旅行・出張の準備で「3C認証のモバイルバッテリーが必要らしい」と知って、日本で買える製品を探しているところだと思います。
先に大事なことを言うと、「3C認証を取っている」と「中国の空港で持ち込める」は、同じではありません。中国の当局が禁じているのは「3Cマークがない」モバイルバッテリーで、検査で見られるのは本体のマークです。ところが、日本で売られている3C認証品のうち、本体にマークがあるとメーカーが公式に書いている製品は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。むしろ「認証は取ったが、本体にもパッケージにもマークは印刷していない」と明言しているメーカーもあります。
この記事では、中国民用航空局(民航局)・在中国日本国大使館・中国の航空会社・中国の認証当局の原文と、日本で売っているメーカーの公式ページだけを使って、何が必要で、何を選べばいいのかを整理します(2026年10月時点)。
先に結論を3つ。
- 3Cマークが必要なのは、中国の国内線だけ。2025年6月28日から、民航局は「3Cマークがない」「3Cマークが不鮮明」「リコール対象の型番・ロット」のモバイルバッテリーを国内線に持ち込むことを禁止しました。日本〜中国の国際線は、3Cがなくても持ち込めます(在中国日本国大使館)。
- 見られるのは「認証」ではなく「マーク」。日本で買える認証品の多くは、本体のマークについて公式に何も書いていません。UGREENの日本代理店は「製品本体、パッケージへの3Cマークの印刷はありません」と明言しています。本体にマークがあるかを、自分の目で確認するのが確実です。
- 日本で回収対象でなくても、中国で回収されたロットは持ち込めません。例:Anker Zolo Power Bank(20000mAh)のA1681・A1689は、中国では一部ロットが回収対象、日本では回収対象外です。
どれを買えばいいか先に知りたい人へ:メーカー自身が公式ページで「中国国内線への機内持ち込みが可能」と書いているのは、エレコム DE-C79-10000 と ラスタバナナ R3CLI100C20W05 の2台です(理由は後半の「選ぶなら」)。届いたら、本体に3Cマークがあるかを自分の目で確認してください。
▼ メーカーが「中国国内線に持ち込み可能」と書いている2台
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※本記事は2026年10月時点の中国民用航空局・在中国日本国大使館・中国の航空会社・中国の認証当局・各メーカーの公式情報に基づいています。中国の空港での運用は変わることがあるため、渡航前に利用する航空会社の最新の案内を必ず確認してください。
ルールの正体:民航局の原文を読む
対象は「境内航班」=中国の国内線
民航局が2025年6月26日に公表した記事は、こう書いています。
民航局发布紧急通知,自6月28日起禁止旅客携带没有3C标识、3C标识不清晰、被召回型号或批次的充电宝乘坐境内航班。
(訳)民航局は緊急通知を出し、6月28日から、3Cマークのないもの・3Cマークが不鮮明なもの・リコール対象の型番またはロットの充電宝(モバイルバッテリー)を持って国内線に乗ることを禁止した。
理由として、機内での発火・発煙が多発したこと、大手メーカーがセルの問題で多くのロットを回収したこと、国家市場監督管理総局が複数のメーカーの3C認証を取り消し・停止したことを挙げています。
国際線は対象外(在中国日本国大使館)
在中国日本国大使館は、同じ発表について次のように案内しています。
※なお、当局に確認しましたところ、国際線を利用する場合には、「3C認証」ロゴのないものであっても、モバイルバッテリーの機内持込みは引き続き可能です。
中国国際航空・中国東方航空・中国南方航空・春秋航空・海南航空の告知も、対象を「境内航班」(国内線)としています。日本から中国へ飛んで、帰りも国際線で帰るだけなら、3Cマークは必要ありません。中国国内で乗り継ぐ・国内を飛行機で移動するときに必要になります。
⚠ 細かい食い違いもあります。中国南方航空のページは「严禁携带国内生产没有3C标识…的充电宝乘坐境内航班」(国内で生産された3Cマークのないもの…)と、民航局の記事にはない限定を付けています(中国南方航空「锂电池安全运输提示」)。「海外製なら3Cは不要」と読める書き方ですが、民航局の本文にはないので、これを当てにして3Cなしで国内線に乗るのはやめておくのが安全です。
機内での使い方のルールもある
3Cとは別に、中国の国内線では機内での使い方も決まっています。
- 民航局の公告(2014年、現在も有効):「不得在飞行过程中使用充电宝给电子设备充电。对于有启动开关的充电宝,在飞行过程中应始终关闭充电宝。」(飛行中にモバイルバッテリーで電子機器を充電してはならない。スイッチのあるものは飛行中は常に切っておく)(民航局 2014年8月7日)
- 中国南方航空:1人2個まで、頭上の荷物棚に入れない、機内での充電は禁止
日本の航空会社のルール(2026年4月24日から機内持ち込みは2個まで、など)はモバイルバッテリーを飛行機の預け荷物に入れてしまったら?で詳しくまとめています。
3C(CCC)認証とマークの基本
モバイルバッテリーは2024年8月から義務
3C(CCC)は中国の強制製品認証です。モバイルバッテリーは、国家市場監督管理総局の2023年第10号公告で対象に加わり、2023年8月1日に認証の受付が始まり、2024年8月1日から、認証を取ってマークを付けていない製品は出荷・販売・輸入ができなくなりました(国家認証認可監督管理委員会 2023年第10号公告)。
マークは「本体に印刷・型押し」が基本。シールは偽物に注意
国家市場監督管理総局の担当者は、モバイルバッテリーのマークについてこう説明しています(泉州市市場監督管理局の転載)。
- 主な付け方は本体に印刷または型押しされたマーク
- 規格のシールを貼る方法もあり、本物はホログラムで、白地に黒の図柄、ひし形の模様と「中国认证」の地紋が入っている
- 「网上售卖的含有CCC字样的标志均不合法」(ネットで売られているCCCの字入りのシールはすべて違法)
「マークのない製品に3Cシールを貼れば通る」は成り立ちません。
日本で買える3C認証品:公式の書き方を並べると「マーク」が抜けている
日本で売られているモバイルバッテリーのうち、メーカーまたは日本の販売元が公式ページで3C(CCC)認証を明記しているものを集めました。注目してほしいのは右端の「本体のマーク」の列です。
| メーカー・製品(容量) | 公式の書き方(原文) | 本体のマーク |
|---|---|---|
| エレコム DE-C79-10000 (巻き取り式・最大30W/38.5Wh・約250g) |
「CCC(中国強制製品)認証品なので、中国国内線への機内持ち込みが可能です。」 | 記載なし |
| ラスタバナナ R3CLI100C20W05 (PD20W/10,000mAh・約225g・3,990円) |
「中国国内の航空便に持ち込み可能なCCC認証を取得しています。」「※全ての航空会社の機内持ち込み制限を満たす事を保証するものではありません。」 | 記載なし |
| HIDISC HD4-MBFT3C05 (5000mAh・18.5Wh・約102g) |
「「CCC認証(中国強制認証制度)」取得商品!中国国内線の持ち込みが可能です。」 | 記載なし |
| UGREEN(日本代理店) PB205・PB561・PB311ほか9製品 (5000〜25000mAh) |
「日本国内向けに販売をしているUGREENブランドのモバイルバッテリーは、全製品、3C認証を取得しております。」 | 「製品本体、パッケージへの3Cマークの印刷はありません。」 |
| TORRAS MiniMag・PebbleLinkほか (5000〜10000mAh) |
「2025年8月1日以降に製造された製品には、3C認証済みであることを示す表記を追加しております。」(プレスリリース) | 製造時期で違う |
(出典:エレコム DE-C79-10000BK/ラスタバナナダイレクト R3CLI100C20W05/HIDISC HD4-MBFT3C05BK/フォーカルポイント「UGREEN モバイルバッテリーの3C(CCC)認証状況について」(2025年8月1日更新)/TORRAS プレスリリース)
読み比べると、問題がはっきりします。
- 民航局が禁じているのは「没有3C标识」=3Cマークがないもの。検査で見られるのはマークです
- ところが、本体にマークがあると公式に書いているメーカーは、今回調べた範囲ではゼロでした
- UGREENは「認証は取ったが、本体にもパッケージにもマークを印刷していない」と明言しています。認証があっても、空港の検査で「マークがない」と判断される可能性があります(当サイトの読み方。UGREEN自身は持ち込めるかどうかに触れていません)
- TORRASは製造時期で表記の有無が変わると書いています。2025年8月1日より前に作られたものには表記がありません
ほかに、Anker Japanの公式ストアには「3C認証付きで、海外旅行でも活躍する大容量モバイルバッテリー」という商品紹介文が出てくる製品がありますが、製品ページの仕様や取扱説明書には3Cの記載が見当たりませんでした。
⇒ 「3C認証品」と書いてあるだけで安心せず、届いたら本体の裏や側面のラベルに3Cマーク(CCCの文字を図案化したマーク)が印刷されているかを必ず見てください。マークがなければ、販売元に「本体に3Cマークはありますか」と問い合わせるのが確実です。
「日本では回収対象外」でも、中国では持ち込めないことがある
民航局は「被召回型号或批次」(リコール対象の型番またはロット)も禁止しています。ここで落とし穴になるのが、リコールの対象が国によって違うことです。
Ankerは2025年6月、中国で次のモバイルバッテリーの一部ロットの回収を当局に届け出ています(湖南省市場監督管理局の公表)。
| 型番 | 中国での回収対象(製造日) | 日本の回収(消費者庁リコール情報サイト) |
|---|---|---|
| A1257 | 2024年5月〜12月 | 対象(Anker Power Bank 10000mAh 22.5W・2025年6月26日から) |
| A1680 | 2024年5月 | 掲載なし |
| A1681 | 2024年5月〜2025年2月 | 掲載なし(日本では Anker Zolo Power Bank (20000mAh, 30W, Built-In USB-C / ライトニングケーブル) として販売) |
| A1689 | 2024年7月〜2025年2月 | 掲載なし(日本では Anker Zolo Power Bank (20000mAh, 30W, Built-In USB-Cケーブル) として販売) |
(出典:湖南省市場監督管理局「安克创新科技股份有限公司召回部分安克牌移动电源」(2025年6月20日)/消費者庁リコール情報サイト(Anker Power Bank 10000mAh 22.5Wほか)。2026年10月確認)
つまり、日本で買ったAnker Zolo Power Bank(20000mAh)は、日本では回収の対象ではなくても、製造日が中国の回収範囲に入っていれば、中国の国内線では「リコール対象のロット」になりえます。
中国のリコール情報は、国家市場監督管理総局 欠陥製品リコール技術センターの「国内消费品召回」で調べられます(春秋航空も、2025年6月27日の告知でこのページを確認先として案内しています)。民航局の禁止は「型番またはロット」なので、型番だけでなく製造日やロット番号まで照合してください。
選ぶなら:「中国国内線に持ち込み可能」とメーカーが言い切っている2台
上の比較から、メーカー自身が「中国国内線への機内持ち込みが可能」と公式ページで書いている製品を挙げます。どちらも10000mAh級(37〜38.5Wh)で、日本の航空会社の基準(160Wh以下)にも十分収まります。
- エレコム DE-C79-10000:巻き取り式のUSB-Cケーブル一体型で、最大30W。公式に「CCC(中国強制製品)認証品なので、中国国内線への機内持ち込みが可能です」
- ラスタバナナ R3CLI100C20W05:USB-C(PD20W)+USB-A×2、残量表示つき、3,990円(公式ストア)。公式に「中国国内の航空便に持ち込み可能なCCC認証を取得しています」(ただし「全ての航空会社の…保証するものではありません」とも)
とにかく軽く安く1つ持つなら、HIDISC HD4-MBFT3C05(5000mAh・約102g)も公式に「中国国内線の持ち込みが可能です」と書いています。
どれを買っても、届いたら本体に3Cマークがあるかを確認してください。これが、公式の書き方から言える唯一の確実な手順です。
2027年以降に変わること(今買うものへの影響)
中国では、モバイルバッテリーの3Cまわりで2つの切り替えが予定されています。
- 3CマークにQRコードが付く:新しく認証を取る製品は2026年3月1日から、認証済みの全製品は2027年3月1日から、マークの右側に追跡用QRコードの表示が必要になります。ただし「2027年3月1日より前に現行の方式でマークを付けて出荷した製品には、マークの変更を求めない」とされています(国家認証認可監督管理委員会 2025年第27号公告)
- 新しい国家規格(GB 47372—2026):2027年4月1日に実施されます。製品の規格で、搭乗のルールではありません
すでに持っている3C認証品はどうなるのか。新華社の取材に対し、中国民航危険品運輸管理センターの技術者は次のように答えています。
旅客已购买的之前通过CCC认证的充电宝,只要符合民航现行相关规定,仍可正常携带乘机。
(訳)すでに購入したCCC認証済みのモバイルバッテリーは、民航の現行の規定を満たしていれば、これまでどおり持ち込める。
公式の規則ではなく取材への発言ですが、「QRコードがないと乗れない」「新規格に対応していないと乗れない」という公式の文書は見つかりませんでした。
出発前チェックリスト
- 中国国内線に乗るか?(国際線だけなら3Cは不要=大使館の案内)
- 本体に3Cマークが印刷・型押しされているか?(箱だけ・説明文だけでは不十分。ネットで売られている3Cシールは違法)
- マークがはっきり読めるか?(「3C标识不清晰」も禁止対象)
- 型番・製造日が中国のリコール対象でないか?(日本の回収対象外でも、中国で対象なら持ち込めない)
- 容量は160Wh以下、2個まで、預けない(中国南方航空は1人2個まで)
- 機内では充電しない・電源を切る・頭上の棚に入れない
よくある質問
Q. 日本から上海・北京への国際線でも3Cは必要ですか?
A. 在中国日本国大使館は、当局に確認したうえで「国際線を利用する場合には、『3C認証』ロゴのないものであっても、モバイルバッテリーの機内持込みは引き続き可能です」と案内しています。必要になるのは中国の国内線です。
Q. 中国の国内線に乗り継ぐ場合は?
A. 国内線の区間は「境内航班」にあたるので、3Cマークのあるものを持っていくのが安全です。乗り継ぎについて民航局が個別に書いた公式文書は見つかりませんでした。
Q. 3C認証品なのに、本体にマークがありません。持ち込めますか?
A. 民航局が禁じているのは「3Cマークがないもの」です。認証の有無ではなくマークで判断されるので、持ち込めない可能性があります。UGREENの日本代理店は、国内向け全製品が認証取得済みとしつつ「製品本体、パッケージへの3Cマークの印刷はありません」と書いています。
Q. 3Cのシールを買って貼れば大丈夫ですか?
A. いいえ。中国の当局は「ネットで売られているCCCの字入りのシールはすべて違法」としています。
Q. 香港・マカオはどうですか?
A. 外務省の海外安全ホームページによると、香港発の便は2026年3月28日以降、マカオ発の便は3月29日以降、「乗客一人につき最大2台までとする制限が設けられ、航行中の充電が禁止されています」。3Cの記載はありません(香港/マカオ)。
Q. 中国で買えば確実ですか?
A. 2024年8月1日以降、中国で売られるモバイルバッテリーには3C認証とマークが義務づけられています。ただし、リコール対象のロットは持ち込めないので、購入後もリコール情報は確認してください。
まとめ
- 3Cマークが必要なのは中国の国内線だけ(民航局・2025年6月28日〜)。日本〜中国の国際線は3Cがなくても持ち込める(在中国日本国大使館)
- 禁止されるのは「3Cマークがない」「不鮮明」「リコール対象の型番・ロット」。検査で見られるのは認証ではなくマーク
- 日本で買える3C認証品で、本体にマークがあると公式に書いている製品は見つからなかった。UGREENは「本体・パッケージへの3Cマークの印刷はありません」、TORRASは「2025年8月1日以降の製造品から表記を追加」
- 日本で回収対象外でも、中国で回収されたロットは持ち込めない(例:Anker Zolo Power Bank 20000mAh=A1681・A1689は中国で一部ロットが回収、日本では回収対象外)
- 選ぶなら、メーカーが「中国国内線に持ち込み可能」と言い切っているエレコム DE-C79-10000かラスタバナナ R3CLI100C20W05。届いたら本体のマークを必ず確認
- 2027年のQRコード・新規格への切り替えで、すでに持っている3C認証品が乗れなくなるという公式の文書はない
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