モバイルバッテリーを飛行機の預け荷物に入れてしまったら?2026年4月の新ルールと「罰則がある違反・ない違反」

モバイルバッテリーを飛行機の預け荷物に入れてしまったら?2026年4月の新ルールと「罰則がある違反・ない違反」 軽量テック装備
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保安検査場の手前で、スーツケースはもうベルトコンベアの向こう側。そこで思い出す——「モバイルバッテリー、あの中に入れっぱなしだ」。

この記事は、その瞬間に検索している人と、2026年4月24日に変わった新しいルールをまだ知らない人のために書いています。

2026年4月24日から、モバイルバッテリーの機内持ち込みルールが変わりました。国際民間航空機関(ICAO)が国際基準を緊急改訂し、国土交通省がそれに合わせて告示を改正したためです。追加されたのは「機内持ち込みは2個まで」「機内でモバイルバッテリーに充電しない」「機内でモバイルバッテリーから他の機器へ充電しない」の3点です。

そして、多くの解説記事が触れていない事実がひとつあります。国土交通省の資料には、7つのルールのうちどれに違反すると罰則があるのかが、はっきり書き分けられています。

この記事では、国土交通省の報道発表資料(令和8年4月14日)、ANA・JAL・ジェットスターの公式ページという一次資料だけを使って、「何が禁止で、何がお願いで、預けてしまったらどうすればいいのか」を整理します。

先に結論:①預け荷物に入れるのは罰則の対象。気づいたら自己判断せず、その場で係員に申し出る ②「2個まで」は100Wh超のものは予備電池と合算。カメラやドローンの予備バッテリーを持つ人は要注意 ③国の基準より航空会社のほうが厳しいことがある——同じ行為が、ある社では「禁止」、別の社では「お控えください」。

※本記事は2026年8月時点の各公式資料に基づいています。航空会社ごとに、より厳しいルールが設けられている場合があります(国土交通省も明記)。搭乗前に必ずご利用の航空会社の案内をご確認ください。


  1. まず結論:状況別にどうするか
  2. 【2026年4月24日〜】何が変わったのか
    1. 追加された3点
  3. 【本記事の核心】7つのルールのうち、罰則があるのは5つだけ
    1. 航空会社の言葉づかいが、この差を裏づけている
  4. 「2個まで」の正確な意味——予備電池と合算される
    1. 一眼カメラ・ドローン・アクションカムを持っていく人へ
  5. 航空会社によってルールが違う——4社を並べて比較する
    1. ① 国は「個数制限なし」、航空会社は「20個まで」
    2. ② 「機内で使う」の強度が、会社によって違う
    3. ③ ジェットスターは100Wh超に「事前承認」が要る
    4. ④ JAL公式だけが「2027年1月」に言及している
  6. Wh(ワット時定格量)が分からない製品は持ち込めない
    1. Whの計算方法
  7. 【当サイト独自】アウトドアガジェットはどう扱われるのか
    1. 見落としやすいのは「兼用モデル」
    2. ポータブル電源は原則あきらめる
    3. 電動工具のバッテリーは可否が逆転する
  8. 預けてしまった場合、実際には何が起きるのか
    1. だから、やることは1つ
  9. 没収されたら宅配便で送ればいい……とは限らない
  10. 膨らんでいるバッテリーは、そもそも運べない
  11. 出発前チェックリスト
  12. よくある質問
    1. Q. モバイルバッテリーは何個まで持ち込めますか?
    2. Q. 機内でスマホを充電するのに使えますか?
    3. Q. 機内でモバイルバッテリー自体を充電するのは?
    4. Q. 収納棚に入れてしまったら罰則がありますか?
    5. Q. mAhしか書いていません。何mAhまでOKですか?
    6. Q. 電子機器本体(スマホ・PC・カメラ)は預けられますか?
    7. Q. AirTagのようなトラッカーは電源を入れたまま預けられますか?
    8. Q. 国際線でもルールは同じですか?
    9. Q. 今からモバイルバッテリーを買うなら、何Whを選ぶべきですか?
  13. まとめ:ルールの「強さ」を知っておくと迷わない

まず結論:状況別にどうするか

あなたの状況 どうするか
預けた直後に気づいた(まだ空港内) すぐにカウンターまたは係員に申し出る。自己判断で放置しない
搭乗後・飛行中に気づいた 客室乗務員に申し出る。黙って到着を待つのが最も避けたい選択
100Wh以下のモババを2個持っている 問題なし(各社共通の上限内)
100Wh超〜160Whのモババがある 予備電池と合算で2個まで。ジェットスターは事前承認が必要
Wh(ワット時定格量)の表記がない ANAは持ち込み・預け入れともに不可と明記。搭乗前に確認を
膨らんでいる・破損している そもそも輸送禁止。飛行機に乗せる以前の問題(処分方法はこちら
ポータブル電源を持っていく 160Whを超えるものは持ち込み不可。大半の製品が該当する

以下、なぜこうなるのかを一次資料で追います。


【2026年4月24日〜】何が変わったのか

国土交通省航空局が令和8年4月14日に出した報道発表「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」には、変更の経緯がこう書かれています。

昨今、全世界的な航空機内でのリチウム電池に関連する火災発生の増加に伴い、リスク管理の必要性が高まっており、ICAOにおいて対応が検討されておりました。その結果、モバイルバッテリーに対するリスクの低減を目的として、ICAOが定める国際基準の緊急改訂案がICAO理事会にて審議され、3月27 日(現地時間)に承認、即日適用されました。

注目したいのは「緊急改訂」「即日適用」という言葉です。通常の基準改正とは異なるスピードで動いた、ということです。日本ではこれを受けて「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」および「航空法施行規則第194条…の運用について」を一部改正し、4月24日から適用しています。

追加された3点

同資料は、変更点を「従来のルールからの追加分」として、次の3つに限定して示しています。

・ 機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
・ 機内においてモバイルバッテリーへの充電をしないこと
・ 機内においてモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと

裏を返せば、「預け入れ禁止」「160Wh以下」「ショート防止」「収納棚に入れない」は今回の新設ではなく、従来からのルールです。ネット上には「2026年から預け入れが禁止になった」と読める説明が見られますが、預け入れ禁止は以前からのルールで、今回変わったのは上の3点です。


【本記事の核心】7つのルールのうち、罰則があるのは5つだけ

同じ報道発表の別紙1「【旅客の皆様へ】モバイルバッテリーの持込みについて」には、旅客向けに7つのルールが番号付きで並んでいます。

# ルール(原文の見出し)
1 預入(受託)手荷物に入れないで!
2 ワット時定格量160Whまで!
3 ショートしないように個々に保護!
4 収納棚に収納しないで!
5 モバイルバッテリーは2個まで!
6 機内で充電しないで!
7 機内で使用(電子機器への充電)しないで!

そして、この一覧の下に注記があります。

※ 1-3、5・6に違反した場合、航空法により罰則が科される可能性があります。

4と7が抜けています。つまり——

  • 罰則の可能性がある:預け入れ(1)/160Wh超(2)/ショート防止措置なし(3)/3個以上(5)/機内でモババへ充電(6)
  • 罰則の記載がない収納棚に入れる(4)/モババから電子機器へ充電する(7)

これは「4と7は守らなくていい」という意味ではまったくありません。しかし、法令上の位置づけが違うことは事実です。そしてこの差は、航空会社の案内文にそのまま表れています。

航空会社の言葉づかいが、この差を裏づけている

ANAの公式ページには、こう書かれています。

機内充電からモバイルバッテリーへの充電は禁止です
モバイルバッテリーから電子機器への充電はお控えください
(ANA「手荷物について(国内線)」/太字は編集部)

同じ文のなかで、6番は「禁止」、7番は「お控えください」と書き分けられています。国土交通省の注記と完全に一致します。偶然ではなく、法令上の裏づけの有無を反映した表現だと考えるのが自然です。

収納棚(4番)についても、ANAは「禁止」ではなく理由付きのお願いとして書いています。

モバイルバッテリーを座席上の収納棚へ収納しないでください。
万一の不具合発生時に速やかな対応ができるよう、モバイルバッテリーは必ずお手元または座席前ポケットなど、常に確認できる場所に保管してください。

「見えないところで発火すると対応が遅れる」——これが理由です。理屈が分かれば、守る理由も腹落ちします。

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「2個まで」の正確な意味——予備電池と合算される

ここが実務上いちばん間違えやすいところです。「モバイルバッテリーは2個まで」だけを覚えて空港に行くと、カメラやドローンの予備バッテリーで引っかかる可能性があります。

国土交通省の別紙1は、モバイルバッテリーと「予備の電池」の組み合わせを3パターンの図で示しています。整理するとこうなります。

手持ちのモバイルバッテリー 100Wh以下の予備電池 100Wh超〜160Wh以下の予備電池
100Wh以下を2個 個数制限なし 2個まで
100Wh超〜160Wh以下を2個 個数制限なし 持込み不可
100Wh以下1個+100Wh超1個 個数制限なし 1個まで

読み解くと、ルールの構造はシンプルです。

「100Wh超〜160Wh以下」のリチウムイオン電池は、モバイルバッテリーか予備電池かを問わず、合計2個まで。100Wh以下のものは、この2個枠とは別の扱いになります。

ANAの公式FAQも、同じことを別の言い方で書いています。

リチウムイオン電池(バッテリー)は、ワット時定格量が100Whを超え160Wh以下のものはモバイルバッテリー、予備電池の種類に関わらず最大2個まで機内持ち込みできます。お預けはできません。

一眼カメラ・ドローン・アクションカムを持っていく人へ

この「合算」が効いてくるのは、予備バッテリーを何本も持ち歩く人です。

ミラーレス一眼の予備バッテリーは10〜20Wh程度、アクションカムの予備は5Wh前後が一般的で、これらは100Wh以下の枠に入ります。一方、大型ドローンのインテリジェントフライトバッテリーには100Whを超えるものがあり、こちらはモバイルバッテリーと合わせて2個という厳しい枠に入ります。

さらにANAは、見落とされがちな条件を1つ加えています。

◆予備電池(モバイルバッテリー含む)
電子機器本体と合わせての輸送が必要となるため、予備電池単体での輸送はできません

つまり予備電池は「その電池を使う機器を持っていること」が前提です。本体を家に置いてバッテリーだけ運ぶ、という運び方は想定されていません。


航空会社によってルールが違う——4社を並べて比較する

国土交通省の別紙1には、次の注記があります。

※ 航空会社によって、より厳しいルールを設けている場合がありますので、各航空会社の指示に従ってください。

この一文は具体的にどういうことなのか。公式ページを突き合わせると、実際に差が出ます。

項目 国土交通省(国の基準) ANA JAL ジェットスター
モババ個数 2個(160Wh以下) 2個(Whに関わらず) 2個(160Wh以下) 2個
100Wh以下の予備電池 個数制限なし 20個まで モババ含め合計20個まで
電子機器本体 記載なし 15台まで 15台まで
機内でモババへ充電 禁止(罰則あり) 禁止 しないこと 禁止
機内でモババから充電 罰則の記載なし 「お控えください」 しないこと 「禁止されています」
Wh表記がない製品 記載なし 持ち込み・預け共に不可
100Wh超の持ち込み 2個まで 2個まで 2個まで カンタス航空の事前承認が必要
2027年以降の見通し 記載なし 100Whに制限の可能性

※「—」は当該公式ページで確認できなかった項目です。記載がないことは「制限がない」ことを意味しません。

差が出ているポイントを3つ取り上げます。

① 国は「個数制限なし」、航空会社は「20個まで」

100Wh以下の予備電池について、国土交通省の図は「個数制限なし」と明記しています。しかしANAは「一人あたり20個まで」、ジェットスターも「予備電池は搭乗者1名につき合計20個まで(モバイルバッテリーはこの合計数に含まれます)」としています。

国の基準より航空会社のほうが厳しい——注記の意味が、ここに具体的に表れています。

② 「機内で使う」の強度が、会社によって違う

前述のとおりANAは「お控えください」ですが、ジェットスターの危険物ページはこう書いています。

モバイルバッテリーは機内持込手荷物としてお持ち込みいただく必要があります。搭乗者1名につき2個まで持ち込み可能ですが、機内での使用および充電は禁止されています。フライト中は常に確認できる場所に保管してください。

同じ行為が、ANAでは「お控えください」、ジェットスターでは「禁止」。法令上の罰則がなくても、航空会社の規則としては禁止になりうる、ということです。機内でスマホを充電するつもりなら、乗る会社によって可否が変わると考えたほうが安全です。

③ ジェットスターは100Wh超に「事前承認」が要る

さらにジェットスターには、他社に見られない要件があります。

100Wh〜160Whの予備電池とモバイルバッテリーは2個までお持ち込みいただけますが、カンタス航空の事前承認が必要です。

大容量モデルを持ってLCCに乗る予定があるなら、当日空港でどうにかなる話ではありません。

④ JAL公式だけが「2027年1月」に言及している

JALの案内には、160Whという上限に注記が付いています。

※ 国際航空運送協会 (IATA)の規定変更により、2027年1月以降は100Whに制限される可能性があります。

これは今の買い物に直結する情報です。100Wh超〜160Whのモバイルバッテリー(27,000mAh超のクラス)は、来年以降に持ち込めなくなる可能性がある。飛行機に乗る前提で買うなら、99Wh前後までに収まる製品を選んでおくほうが、長く使えるという判断になります。

なお、この注記はJALの案内で確認できたもので、ANAの手荷物ページおよびリチウム電池のFAQでは同趣旨の記載を確認できませんでした(2026年8月時点)。あくまで「可能性」として示されている点も含め、確定情報ではありません。


Wh(ワット時定格量)が分からない製品は持ち込めない

ANAのFAQには、実務的に最も引っかかりやすい一文があります。

ワット時定格量(Wh)の記載がないモバイルバッテリーが多く流通しております。ワット時定格量(Wh)が不明な場合には、機内持ち込み・お預け共に不可となります。ご搭乗前にワット時定格量(Wh)を事前にお調べいただくようお願いいたします。

Wh表記がない=アウトです。ノーブランド品や、ラベルが擦れて読めなくなった古い製品は、この時点で持ち込めません。

Whの計算方法

本体にmAhしか書かれていない場合は、国土交通省の資料にある式で計算できます。

ワット時定格量 (Wh)=定格容量 (mAh)×定格電圧 (V)÷1,000

たとえば「定格容量:27,000mAh/定格電圧:3.7V」なら、27,000×3.7÷1,000=99.9Wh。国土交通省の資料に例示されているのも、まさにこの数字です。100Whをぎりぎり下回る設計になっているのは偶然ではありません。

目安として、リチウムイオンセルの公称電圧3.7Vで計算すると、27,000mAh前後が100Whの境界になります。よく売られている10,000mAhクラスは37Wh前後で、余裕をもって基準内です。

⚠ 注意したいのは、「定格電圧」は出力の5Vではなくセルの3.7Vで計算するという点です。5Vで計算すると値が大きく出てしまい、本来問題ない製品を「持ち込めない」と誤判定します。ラベルにWh表記があるなら、計算せずその数字を信じてください。


【当サイト独自】アウトドアガジェットはどう扱われるのか

ここからは、旅行情報サイトではあまり触れられない領域です。キャンプ用のガジェットは、モバイルバッテリーなのか、電子機器なのか。分類によって上限が変わるため、意外と重要です。

JALは「モバイルバッテリー」の定義を明記しています。

「モバイルバッテリー」とは、リチウムイオン電池を内蔵し、他の電子機器を充電することを目的とするものを指します。

この定義を軸に、当サイトで扱っている製品を整理するとこうなります。

製品 分類の考え方 実務上の注意
充電式カイロ 本来は「電子機器本体」 USB出力でスマホを充電できる兼用モデルは、モバイルバッテリーに該当しうる
充電式湯たんぽ 電子機器本体 蓄熱式は電池を持たない製品もある
電熱ベスト 給電するモババ側が規制対象 ベスト本体よりモババの個数枠を意識
ネッククーラーハンディファン 電子機器本体 電源を切って保護すれば預け入れも可
骨伝導イヤホン 電子機器本体(ANAの例示に「ワイヤレスイヤホン」が明記) 15台の枠。電源を完全に切れば預け入れも可
スマートウォッチ・GPSウォッチ 電子機器本体 同上。腕に着けたままなら個数の心配はまず不要
ポータブル電源 大半が160Wh超 持ち込み・預け入れとも不可の製品が多い
電動工具のバッテリー 別枠の扱い 内蔵状態は「機内持込✕・預け✓」と逆転(ジェットスターの表)

見落としやすいのは「兼用モデル」

充電式カイロには、USBポートを備えてスマホの充電もできる製品が少なくありません。JALの定義「他の電子機器を充電することを目的とするもの」に照らすと、こうした兼用モデルはモバイルバッテリーとして数えられる可能性があります。そうなると、モババ2個の枠を1つ消費することになります。

この点について明確に線引きした公式案内は、確認できた範囲では見当たりませんでした。判断が分かれうる製品なので、兼用モデルを持っていくなら事前に航空会社へ確認するのが確実です。

ポータブル電源は原則あきらめる

ポータブル電源は、エントリークラスでも240Wh前後、主力モデルは500〜1,000Whです。160Whを超えるものは持ち込みも預け入れもできません。飛行機で移動するキャンプに、ポータブル電源は持っていけない——これは容量を選ぶ前の大前提として押さえておく価値があります。現地レンタルや、100Wh以下のモバイルバッテリーでの代替を検討することになります。

電動工具のバッテリーは可否が逆転する

ジェットスターの危険物ページの表では、リチウムイオン電池が工具に内蔵・装着された状態の場合、100Wh未満で「機内持込✕・お預け✓」となっています。モバイルバッテリーとは真逆です。マキタの充電式クーラーボックスのような工具用バッテリーで動く製品は、モババの常識で判断すると間違えます。

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預けてしまった場合、実際には何が起きるのか

ここで正直に書いておきたいことがあります。

「預けてしまった場合にどう対応されるか」を、明文で公表している航空会社は、確認できた範囲では見当たりませんでした。

ネット上には「呼び出される」「没収される」「スーツケースが開けられる」といった説明が多くありますが、それらは公式に公表された手順ではなく、体験談ベースの情報です。裏を返せば、手順が公表されていないからこそ、自己判断で「たぶん大丈夫」と考えるのがいちばん危険だということでもあります。

公式資料から確実に言えるのは、次の3点です。

① 預け入れは罰則の対象になりうる
国土交通省の注記のとおり、預け入れ違反(1番)は「1-3、5・6」に含まれています。航空法により罰則が科される可能性がある行為です。

② 預け手荷物も検査されている
預け手荷物は保安検査の対象です。発見される前提で考えるのが妥当です。

③ 発煙・発火は「見えない場所」がいちばん危ない
ANAは「リチウム電池を内蔵した携帯型電子機器は、見えない場所で発火するリスクがあり」と書いています。機内なら乗務員が即座に対応できますが、貨物室ではそれができません。預け入れが禁止されている理由そのものです。

だから、やることは1つ

気づいた時点で、その場の係員に申し出る。これに尽きます。

  • カウンター付近で気づいた → 手荷物カウンターへ。荷物を取り出せる可能性がある
  • 保安検査後・搭乗待ちで気づいた → 地上係員に申し出る
  • 搭乗後・飛行中に気づいた → 客室乗務員に申し出る

黙っていて何も起きなければ結果的には無事ですが、それは「安全だった」のではなく「たまたま発火しなかった」だけです。判断の材料が公表されていない以上、専門家である係員に渡すのが唯一の合理的な選択になります。


没収されたら宅配便で送ればいい……とは限らない

もうひとつ、国土交通省の資料にある注記が重要です。

※ 持込みできなかったモバイルバッテリーなどは、宅配便などによる貨物としても航空輸送できない場合があります。宅配便などの運送事業者へ確実に申告のうえ、運送事業者の指示に従ってください。

「空港で預かってもらえないなら、宅配便で自宅に送ればいい」という発想は、航空輸送を使う宅配便では通用しない場合があるということです。とくに離島・遠方への配送は航空輸送を経由することがあります。

ここでも要求されているのは「確実に申告する」こと。中身を言わずに出す、という選択肢は最初からありません。


膨らんでいるバッテリーは、そもそも運べない

ジェットスターの危険物ページには、明確な記載があります。

破損(膨張など)または欠陥のあるリチウム電池やモバイルバッテリーは、過熱や出火などの重大な安全上のリスクを伴うため、輸送が禁止されています。

容量が基準内でも、状態が悪ければアウトです。旅行前に久しぶりに取り出したモバイルバッテリーが膨らんでいたら、それは持っていくかどうかの問題ではなく、処分の問題になります。

なお膨らんだバッテリーは家電量販店の回収ボックスでも受け取ってもらえません。旅行の前日に発覚すると詰むので、出発の1週間前くらいに一度、手持ちのモバイルバッテリーを目視で確認しておくことをおすすめします。


出発前チェックリスト

搭乗前に、この7つだけ確認してください。

  1. モバイルバッテリーはすべて手荷物へ移したか(預け荷物に1つも残っていないか)
  2. Wh表記があるか——なければ持ち込めない(ANA)
  3. 160Whを超えていないか——27,000mAh・3.7Vで99.9Whが目安
  4. 合計3個以上になっていないか——予備電池も合算対象
  5. 端子を絶縁したか——テープで保護、またはビニール袋・専用ポーチへ
  6. 膨らんでいないか・破損していないか
  7. LCCの場合、追加の承認が要らないか——ジェットスターは100Wh超で事前承認

機内では、収納棚に入れず座席ポケットなど手元に置く機内電源からモババへの充電はしない。この2つを守れば、あとは普段どおりです。


よくある質問

Q. モバイルバッテリーは何個まで持ち込めますか?

1名あたり2個までです(2026年4月24日から)。ただし100Wh超〜160Wh以下のものは、モバイルバッテリーと予備電池を合算して2個までという扱いになります。100Wh以下の予備電池は国の基準では個数制限がありませんが、ANA・ジェットスターは20個までとしています。

Q. 機内でスマホを充電するのに使えますか?

航空会社によって扱いが違います。国土交通省は「機内でモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと」としていますが、この項目に罰則の記載はありません。ANAは「お控えください」、ジェットスターは「禁止されています」と書いています。機内備え付けの電源を使うのが確実です。

Q. 機内でモバイルバッテリー自体を充電するのは?

明確に禁止で、罰則の対象です。国土交通省の注記で「6」に含まれています。座席の電源につないでモババを充電する行為は、2026年4月24日から明確にNGになりました。

Q. 収納棚に入れてしまったら罰則がありますか?

国土交通省の注記では、収納棚(4番)は罰則の対象として挙げられていません。ただし航空会社は明確に「入れないでください」と案内しています。理由は「万一の不具合発生時に速やかな対応ができるよう」(ANA)——発火に気づけないことが問題なので、罰則の有無にかかわらず守るべきルールです。

Q. mAhしか書いていません。何mAhまでOKですか?

計算式は「Wh=mAh×定格電圧(V)÷1,000」です。リチウムイオンの公称電圧3.7Vで計算すると、160Whは約43,000mAh、100Whは約27,000mAhに相当します。ただしWh表記そのものがない製品は、計算できても持ち込み不可(ANA)という点に注意してください。

Q. 電子機器本体(スマホ・PC・カメラ)は預けられますか?

ANAでは、条件を満たせば預け入れも可能です。「リチウム含有量が2g以下のもの、またはワット時定格量が160Wh以下のものについて一人あたり15台まで機内持ち込み・お預けともに可能」とされています。ただし預ける場合は「本体の電源を完全にお切りください(スリープモード不可)」「強固なスーツケースまたは衣類などで梱包する」という措置が求められます。

Q. AirTagのようなトラッカーは電源を入れたまま預けられますか?

ANAは補足として、「リチウム含有量の合計が0.3g以下のリチウム金属電池又はワット時定格量の合計が2.7Wh以下のリチウムイオン電池を内蔵するものに限り、電源ONのまま機内持ち込み・お預けともに可能」(通信用の電波は100ミリワット以下のものに限る)としています。例として「Bluetooth電波を使用したトラッキングデバイス」が挙げられています。

Q. 国際線でもルールは同じですか?

基準の土台は共通(ICAOの国際基準)ですが、国や航空会社ごとに上乗せがあります。国土交通省も「航空会社によって、より厳しいルールを設けている場合があります」と明記しています。海外の航空会社を使う場合や乗り継ぎがある場合は、各社の公式ページを個別に確認してください。

Q. 今からモバイルバッテリーを買うなら、何Whを選ぶべきですか?

100Wh以下(27,000mAh・3.7V換算)を選んでおくのが無難です。JALが「IATAの規定変更により、2027年1月以降は100Whに制限される可能性があります」と注記しているためです。確定した話ではありませんが、100Wh超のモデルは将来的に持ち込めなくなる可能性を抱えていることになります。


まとめ:ルールの「強さ」を知っておくと迷わない

  • 2026年4月24日から3点が追加——2個まで/機内でモババへ充電しない/モババから他機器へ充電しない
  • 7つのルールのうち、罰則の可能性があるのは5つ(1-3、5・6)。収納棚(4)と機内使用(7)は罰則の記載がない——だからANAは「禁止」と「お控えください」を書き分けている
  • 「2個まで」は100Wh超のものが予備電池と合算される。カメラ・ドローンの予備を持つ人は要注意
  • 国の基準より航空会社のほうが厳しいことがある——100Wh以下の予備電池は国は「制限なし」、ANA・ジェットスターは「20個まで」
  • Wh表記がない製品は持ち込めない(ANA)。ノーブランド品や表示が消えた古い製品は出発前に確認を
  • JAL公式は「2027年1月以降は100Whに制限される可能性」と注記。買うなら100Wh以下が安全側
  • 膨らんだバッテリーはそもそも輸送禁止。旅行前の目視確認を習慣に
  • 預けてしまったら、自己判断せずその場で申し出る。対応手順は公表されていないので、判断は専門家に委ねるのが唯一の合理的な選択

ルールが増えたように見えますが、根っこにあるのは「発火したときに人が気づける場所に置いておく」という一点です。そう理解しておくと、細かい条文を覚えていなくても、だいたい正しい行動が取れます。

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